SVG未対応ブラウザのシェアって今どれくらいか?2015年10月版

以前にも更新したこのシリーズの3回目の更新です

SVG対応の基準

ここでは前回・前々回同様にHTML5でのインラインSVGを表示できるかを判定の基準にします。
どのブラウザが対応しているかは Can I useのページでまとまっています。

Inline SVG in HTML5 - Can I use...

SVG未対応の環境とは

主要なモダンブラウザでは概ねSVGへの対応はされていますが、現在まで残っているSVG未対応の代表的な環境をピックアップすると、これらが挙げられます。

IE 8以下 Android 2.3.x以下 フィーチャーフォン

厳密にはAndroid 2.3.x系でも標準ブラウザとは違い、Opera(mini含む)、FirefoxならSVGに対応しているのですが、分けてカウントするのは難しいためここではそれらも含めて算出しています。

調査の元になったサービス

今回もこれらを利用しました。後述しますが、それぞれのサイトによって調査手法や内容については違いがありますから、あくまで参考程度に留めてください。

パソコン環境でのブラウザシェア

StatCounterの場合


StatCounterは国別・地域別にブラウザシェアの情報を公開しているサイトです。今回は日本での2015年10月1日から現在までのデータを基にグラフを作成しました。

StatCounterはページビューを元に算出するのが特徴で、レガシーな環境が低く出ますね。

NetMarketShare - Net Applicationsの場合


同じようにブラウザシェアの情報を公開しているNetMarketShare - Net Applicationsからも円グラフ化しました。こちらは国別・地域別のデータは有料なので、ここでは全世界版を基にしています。調査期間は2015年9月。
StatCounterと異なりユニークビジター数を基に算出しているため、結果が大きく変わります。

それぞれの数値を表にするとこうですね

StatCounterNetMarketShare - Net Applications
Browser Versionシェア小計Browser Versionシェア小計
SVG未対応IE 8.02.22%3.88%IE 8.011.71%13.99%
Safari 5.00.30%IE 6.00.77%
IE 7.00.14%IE 7.00.41%
IE 6.00.09%Safari 5.00.21%
不明1.13%不明0.89%
SVGに対応Chrome 45.031.18%96.12%IE 11.025.26%86.01%
IE 11.028.22%Chrome 45.015.25%
Firefox 41.011.28%Firefox 407.58%
Firefox 40.03.64%IE 9.06.19%
Chrome for Android3.33%IE 10.04.65%
IE 9.02.50%Chrome 44.03.24%
Safari 9.01.91%Safari 8.03.08%
IE 10.01.59%Chrome 31.02.64%
Safari 8.01.53%Microsoft Edge 122.40%
Edge 1.01.29%Chrome 36.02.10%
Safari 5.10.85%Chrome 42.01.25%
Opera 32.00.77%Chrome 43.01.06%
Safari 7.10.66%Firefox 410.97%
その他7.37%その他10.34%

データを調べてみると、Firefox 2.0とかNetscapeなど本当に存在するのかあやしい項目もあるのですが、そうしたはっきりしないものも念の為「不明」に含めています。
また前回・前々回からの推移も表にしました。

StatCounterNetMarketShare - Net Applications
SVG対応SVG未対応SVG対応SVG未対応
2014年10月93.06%6.94%73.09%26.91%
2015年05月95.87%4.13%82.18%17.82%
2015年10月96.12%3.88%86.01%13.99%


スマートフォンタブレットでのシェア

iOSでの未対応の環境については現状ほぼ無視できる割合なので、ここでは主にAndroidのシェアを見ていきます。基になったのはGoogleが公開しているこちらから
Dashboards | Android Developers
ただこれは全世界でのデータなので、国内ではまた異なるでしょう。
標準ブラウザではAndroid 3.0未満までがSVG未対応の環境です。

表にしたのはこちら

DonutÉclairFroyoGingerbreadHCICSJelly BeanKitKatLollipop
1.62.12.22.3.x3.x4.0.3 -
4.0.4
4.1.x - 4.34.45.0 -
2013年03月0.1%1.7%4%39.8%0.2%29.3%25%
2013年04月0.1%1.7%3.7%38.5%0.1%27.5%28.4%
2013年05月0.1%1.5%3.2%36.5%0.1%25.6%33%
2013年06月0.1%1.4%3.1%34.2%0.1%23.3%37.9%
2013年07月0.1%1.2%2.5%33.1%0.1%22.5%40.5%
2013年08月2.4%30.7%0.1%21.7%45.1%
2013年09月2.2%28.5%0.1%20.6%48.6%
2013年10月1.7%26.3%0.1%19.8%52.1%
2013年11月1.6%24.1%0.1%18.6%54.5%1.1%
2013年12月
2014年01月1.3%21.2%0.1%16.9%59.1%1.4%
2014年02月1.3%20%0.1%16.1%60.7%1.8%
2014年03月1.2%19%0.1%15.2%62%2.5%
2014年04月1.1%17.8%0.1%14.3%61.4%5.3%
2014年05月1%16.2%0.1%13.4%60.8%8.5%
2014年06月0.8%14.9%12.3%58.4%13.6%
2014年07月0.7%13.5%11.4%56.5%17.9%
2014年08月0.7%13.6%10.6%54.2%20.9%
2014年09月0.7%11.4%9.6%53.8%24.5%
2014年10月
2014年11月0.6%9.8%8.5%50.9%30.2%
2014年12月0.5%9.1%7.8%48.7%33.9%
2015年01月0.4%7.8%6.7%46%39.1%
2015年02月0.4%7.4%6.4%44.5%39.7%1.6%
2015年03月0.4%6.9%5.9%42.6%40.9%3.3%
2015年04月0.4%6.4%5.7%40.7%41.4%5.4%
2015年05月0.3%5.7%5.3%39.2%39.8%9.7%
2015年06月0.3%5.6%5.1%37.4%39.2%12.4%
2015年07月
2015年08月0.3%4.6%4.1%33.6%39.3%18.1%
2015年09月0.2%4.1%3.7%31.8%39.2%21.0%
2015年10月0.2%3.8%3.4%30.2%38.9%23.5%

一部の月で空欄なのは、その月はシェアの公開がなかったためです。


まとめ

まとめの前に、SVG未対応の環境として最も大きな割合を占めるIE8についてはこうしたニュースがありました。
niconico全サービスにおける「Internet Explorer 8」サポート終了のお知らせ‐ニコニコインフォ
またIE8は来年2016年1月でサポートが終了することもあり、こうした記事もMSDN Blogsに書かれています。
なぜサポートが終了した Web ブラウザーを使うと危険なのか? - monoe's blog - Site Home - MSDN Blogs

たしかに、サポート期間が終了しても IE8 やそれ以前の IE を使用し続けるユーザーは、少ないながらいらっしゃることでしょう。
そういったユーザーの PV や広告のクリック数を失わないようにするために、いままでと変わらない品質のコンテンツを提供しなければという気持ちは理解できます。
しかし、そういった時代遅れのレガシーブラウザを手厚く保護すればするほど、ユーザーは不便を感じず、ブラウザーをバージョンアップしないままサポート期間の切れた安全でない Web ブラウザーを使い続けてしまうことでしょう。これはユーザーにとって非常にリスクの高いことです。

http://blogs.msdn.com/b/osamum/archive/2015/10/09/why-is-discontinued-browser-use-dangerous.aspx

ユーザー = たいせつなお客様のために
ここまで、Web サイトを閲覧するユーザーががサポート期間が終了した IE を使用していることについてのリスクを紹介してきましたが、もちろん、ただむやみに「サポートの切れた古い IE 向けの対応をすべきでない」と言いたいわけではありません。

ご理解いただきたいのは、サポート期間の終了した古い IE に対し、いままでと同じような品質でコンテンツが閲覧できるように精一杯の労力を注いでケアをしても、それはユーザーのためにはならないということです。

http://blogs.msdn.com/b/osamum/archive/2015/10/09/why-is-discontinued-browser-use-dangerous.aspx

といった内容で、制作者側に対しても対応の変化を促すメッセージを発信しています。


……とは言っても未だに少なくないシェアがあるというのも事実で、来年1月にすぐに変更するというのも実際問題 難しいとは思うのですが、SVGに関して言えばそろそろ気軽に使える環境が整ってきたなと感じますね。

関連リンク

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週刊SVG


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