年に一度、撮影した写真を振り返ってベスト集作りましょう、という話

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デジタルカメラが一般に普及し、小型化して携帯電話に搭載されているのも当たり前になってから随分経ちました。デジタルカメラが従来の銀塩フィルムカメラに比べて格段に優れている点はいくつかありますが、最も大きな特徴は枚数を気にせずに気軽に撮影できることではないでしょうか。
ほんの何年か前までは写真を撮影すると言えば、フィルムをわざわざお店で買ってきて
FUJIFILM カラーネガフイルム フジカラー SUPERIA X-TRA 400 24枚撮り 3本パック 135 SP400X-R 24EX 3SB FUJIFILM カラーネガフイルム(プロフェッショナル用) フジカラー PRO400 35mm 24枚 1本 135 PN 400 N 24EX 1
いちいち24枚とか、36枚ごとに入れ替えないとダメだった時代があったわけです。
当然現像もプリントもお店に行ってしてもらわないといけませんでした*1
そのため写真は、何枚でも好きなだけ撮影できる……とはいかず、旅行とか、誕生日とか、運動会とか、家族・親類、友人が集まったときとかそういった特別な日に記念に残すアイテムでした。

当然できあがった写真もアルバムに丁寧に整理して、家族の、または友人や同級生たちとの大切な思い出として保管していました。




でも、現在はデジタルカメラが主流の時代。
銀塩フィルムカメラとの大きな違いは、写真の数が桁違いに増えたことでしょう。
画像のサイズと容量の兼ね合いもあってまちまちですが、数百枚くらいなら切手ほどの大きさのメモリーカードに余裕で残せますし、そのメモリーカードもフィルムの現像に比べればそれほど高いものではないですよね。また少し前ならCD-Rに焼いて保存もしていましたが、最近なら外付けハードディスクに保存したり、Dropboxに保存したり、といった利用形態が多いかなと思います。
そうなると、一枚当たりにいくらコストがかかるか?むしろ却って計算が面倒ですが、随分と安価な状況になりました。
また利用する場面も以前に比べて増えてきています。
コンパクトデジタルカメラも随分お手軽な価格帯になりましたし、なにより携帯電話にカメラがついたことが大きいですね。
お昼にパスタを食べたのでパシャリ♪と撮影。
コンビニで新製品のスイーツを買ったのでパシャリ♪
道端でネコが歩いていたのでパシャリ♪
面白い看板があったのでパシャリ♪
夕焼けがキレイなのでパシャリ♪
……と、旅行でも誕生日でもなんでもない、ごくごく普通の一日でも何枚も撮影したり、または何十枚も撮るのは珍しくないでしょう。しかもそれらを TwitterFacebook に投稿するというのもよくある利用のされ方です。
今は銀塩フィルム時代とは比べものにならないほど、写真が身近な時代になりました。

でも、その写真整理できているの?

撮影した写真を投稿して、ネットで共有する際に無料のWebサービスを使うことはよくあることだと思います。

少し前に利用規約で話題になったInstagramに限らず、現在様々な写真投稿サイト・サービスがありますね。
そうした写真を紹介する場も、ブログだけでなく TwitterFacebookGoogle+ と様々なところがあります。そうした写真を自分がこれまでどれくらい利用してきたか把握していますか?

ネットをディープに活用している人ほど、これまでに撮影してきた写真を様々なところに投稿し過ぎて、全て管理できなくなっているのではないでしょうか?
「いやいや投稿先はともかく、写真の元データはきちんと保存しているよ」
という人も多いかもしれません。
でも、

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これまで撮影してきた写真って膨大な数になっていませんか?
おまえは今まで撮った写真の... - マーク・ザッカーバーグからの手紙 - はてなセリフ
特に、小さいお子さんを持った家庭とか、かわいいペットを飼っている人は年間の撮影枚数は相当な数になっているのではないか?と思います。私自身はそれほど写真を撮らない方なんですけれども、改めて数えてみたらケータイで今年撮影したのが2300枚以上になっていました*2
よく写真を撮る人だと、桁が違って年間1万枚以上なんてケースもあるでしょう。


……で、まぁ例えば、子供が生まれたので写真を撮りまくったとします。
仮に 一日当たり撮影枚数が平均5枚だとしたら年間1825枚になるわけです
その子が物心つくようになって、「僕の小さいころの自分の写真を見たい!」と言い出したとしますよね、だいたい8歳くらいとしますね。そうしたとき、じゃあこれまでの写真を整理しよう、ってなったら8年間で14600枚とかになるわけですよ。
さらにそれが全て一括して手元にあるならまだともかく

「前のケータイで撮った写真どこに保存してたっけ?」
「あー、あの写真って、6年前にFacebookに投稿したんだったな」
「このサービス、2年前に終了してた……」

とか、そういうことも多々あると思うんですよね。
そして子供の写真だけがまとまってならまだいいのですが、食事の写真・ネコの写真、風景写真や友人との写真などがバラバラに混ざっている!となったらもっと面倒な事態に。

なので、その年のベスト写真集を作りましょう


ですので、この年末を機会にその年の写真を振り返り、良い写真だけをピックアップして今年のベスト写真集を作りましょう、という提案です。今のうちから整理しておくと後々の作業が楽ですし。なにより未来の自分が助かります。
お子さんがいる家庭ならこの年末年始に見せる機会も多いでしょうし、私のように独身でもその当時の記録として色々と残しておくと便利じゃないかな、と思うわけです。



ついでに

利用している写真投稿サービスを見直したり、バックアップを残したり、保存の状況を考え直したり、といったこともしておくといいでしょう。




以下は駄文で、オチもなくあれこれ。


こうしたことを考えるようになったきっかけ

私がこうしたことを考えるようになったきっかけの一つは昨年、2011年3月に起きた東日本大震災の影響があります。
大きな災害、また原子力発電所の事故などで生活の場があっという間に奪われる事態を目の当たりにして、月並みな表現ですが日常生活の風景の大切さを改めて実感しました。また、これはどこかのインタビューで見たのですが、津波で家を流された人が、震災前の自宅の周辺を写真に残していなかったことを悔やんでおられたんですよね。
私もそれまでは、自宅の周りって見慣れているだけにわざわざ撮影するなんていうことはしていなかったのですが、それからは記録として近所のなんてことのない風景でも写真におさめるようにしています。



またもう一つのきっかけとしては今年、家族が重傷で救急車に搬送されたこと。
幸い現在は既に退院して元気なのですけれども、病院に担ぎ込まれた当初は意識不明だったこともあり
「おいおい、アイツどこに保険証を保管してるんだよ……!」
と重要な書類やら、(状況的に携帯電話も一緒に壊れる事態だったため)連絡先やら交友関係やらを把握するのに手間取ってしまい、かなり困ったんですよね。
結果的にはすぐに意識が回復して、必要なところには連絡できたり書類は本人の指示で部屋を探せたりはしたものの、もしも自分が逆に同じような事態になってしまったときのために、きちんと整理したりまた大切な書類や情報は分かるようにしておかないといけないな、と感じました。
もちろん写真もそうですし、それ以外の色々なものとか(エロ本とか)、そもそも部屋をきちんと片付けないと、とかそういうレベルでも。



写真はプリントするのも一つの手

これは ほぼ日刊イトイ新聞 でのインタビュー記事なのですが

写真フィルムメーカー社員 - 富士フイルム 吉村英紀 - 21世紀の「仕事!」論。
富士フイルムの吉村英紀氏のインタビューの中で印象的だったのはこのエピソードでした。インタビューの終盤、東日本大震災の話題になり、
富士フイルム社は瓦礫の中から見つかった写真の洗浄・修復作業もされていたのですが

吉村   ただ、写真を洗っていて気づくのは、
     ここ10年ぐらいの写真が、本当に少ないんですよ。 

──   それは‥‥デジカメだから? 

吉村   そうなんです。 
     結局、撮ってもプリントしていないから
     パソコンごと流されちゃって。 

ミヤモト つまり、救出できたのは
     昔のフィルムのプリントばっかりなんです。 

吉村   だから、ここ最近の写真って、
     ほとんど失われてしまったかもしれない。 

──   逆に言えば「プリント」という
     具体的な「もの」の強さということですね。 

吉村   そう、「もの」だから、あんなに拾えた。 

──   そうですよね‥‥。 

というエピソード。
あれほどの規模の災害となると、パソコンやハードディスクに保存しておいた写真のデータは簡単に失われてしまうわけです。デジタルデータはそこが脆いところなんですよね、……という話をすると「いやいやそれなら、Dropboxにでも保存しておけば安心じゃない」という反応もあるかと思うんですが、それもバックアップ先としては一つの手なんですが、ただ Dropbox も利用者が生き残っていればいいんですよ。
例えば私がうっかり事故で死んでしまった場合、 Dropbox にある写真を遺された家族がどう扱うか、またはそもそもアクセスすることが果たしてできるか?故人のアカウントの扱いがどういうプランで用意されているか、またその手続きの方法など……といった部分はよく考える必要があると思います。
その点、年に一度 気に入った写真だけでもプリントして残しておく、というのはずっと手軽なわけです。私自身もここ数年近くは写真をわざわざプリントするなんて滅多にやらなくなっていたのですが、今なら結構お安いフォトブックのプリントサービスもあったりしますし、バックアップの一つの手段としても良いかなと。

写真もそうですが、映像も

ここまでスルーしてきたのですが、最近だと写真だけでなく映像も記録として残すことも多いでしょう。
携帯電話にムービー撮影機能もありますし。
こちらの場合は、写真以上にまとめる必要性は高いです。例えば1000枚の写真を見直す、というのはそれほど難しい作業じゃないんですよね。縮小表示にしてざっと見渡して当たりをつける……といったことが可能ですが、10分間の映像を見るのは当然ながら10分間かかるわけです。
もちろん映像も素直に見続けるだけじゃなく早送りや、各場面ごとのサムネイル機能などもあって、一覧性を高める工夫はされているもののやはり、精査する作業はどうしても時間がかかってしまいます。そのため映像こそ年に一度、改めて見返してその年のベスト集を作っておかないと後で膨大な長さのムービーに途方に暮れることになりかねないです。

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*1:インスタントカメラは違いますが

*2:ホワイトボードの書き込みや、メモなどを撮影しているのもあって