Re:コピペ転載(チェーンメール、チェーン日記)批判を問い直す

コピペ転載(チェーンメール、チェーン日記)批判を問い直す
トラックバックをいただいたので返信。

最初に

ここでは「チェーン日記」も例に挙げられており、「チェーン日記」とはおそらくYahoo!ブログの転載機能(?)を念頭においておられると思うのですが、
チェーンメール、チェーン日記全否定の啓蒙活動に思う

Yahoo ブログの転載機能を積極的に擁護する私は、チェーン日記やチェーンメールの全否定論にも違和感がある。

http://deztec.jp/design/06/12/04_chain_style.html

私自身はそのYahoo!ブログの仕組み・仕様について詳しくないので、ちょっと除外させていただきます。




元の私のエントリーはこちらですね 善意であれ事実であれチェーンメールはダメゼッタイという話 - 聴く耳を持たない(片方しか)


コピペ転載(チェーンメール、チェーン日記)批判を問い直す

チェーンメールやチェーン日記を見つけると、まずもうその形式だけで問題視する人がいるわけです。しかし引用した記事でrikuoさんが問題視しているようなことは、よく考えてみれば、ほとんどの個人のブログとかmixi日記などについて同様の批判が可能ではないでしょうか。
チェーンメールならダメだけど、読者には検証不能な「体験談」とか「知人から聞いた話」を書いてる人はOKなんでしょうか。私は、あえて踏み込むなら、OKだと思う。それがNGとなる世界は窮屈すぎます。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

読者には検証不能の「体験談」というのは確かにそうですね。先のエントリーでは私が当時、被災地で体験した話も書いていますが、それが事実なのかどうか?創作ではないか?というのは第三者が検証は難しいでしょう*1
ただ、翻ってチェーンメールではどうでしょうか?こちらはそもそもの文章を書いた作者が誰かすらたどりつくのが難しいです。

だいたい、本来であれば、チェーン日記はともかく、チェーンメールは、むしろ訂正が容易なはずです。発信者のアドレス帳に自分の名前があったから、メールが届いたわけでしょう。最初の発信者が訂正メールを送れば、順次、訂正情報が流れるはずです。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

理屈ではそうですが、ではチェーンメールが自分のところに送られてくるよりも前の8世代前の送信者にいざ遡ってください、と言われてすぐに遡及して調べるのは容易ではありませんよね。
でも、ブログであれば先の私のエントリーにトラックバックをいただいたように、簡単に発信者にアクセスできます。

Twitterでは投稿したエントリーを修正・追記は行えません。ならば、ブログなど後から編集できるメディアを使って報知するのはどうでしょうか。

そんなことをいったら、メールなんて広報に使えませんよね。仕事で転送メールを使うこと、あるでしょう。再転送だって、するでしょう。別にコピペ転載だから悪いという話じゃないはずなんです。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

業務に使えるし、再転送もするからメールという仕組みは問題ではない、→ だからチェーンメールは悪くない、と論理展開は性急過ぎます。
広報やメールマガジン再転送は、送信者……またはその文章を書いた人……が明らかであるに対し、チェーンメールは誰が最初に書いてどういった経緯で送られてきた情報かがはっきりとしたものではありません。また、コピペ転載で膨大な量に分岐し、大量に伝播する仕組みです。
例に挙げた使い方とは大きく異なる形態になります。

「転載しなくてもソースにリンクすればいい」と、よくいわれますが、アクセス解析すれば明らかなように、リンク先なんか読みに行く人は半分もいない。自分の記事の読者1000人なら1000人に確実に情報を届けたいなら、転載するしかないのが現実です。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

「リンク先なんか読みに行く人は半分もいない」、のは同意ですが「転載するしかない」というのには反対です。先のエントリーでは、仮に事実であっても当初の状況から変化することはある、という事例を紹介しましたが
例えば

  1. ブログA:「災害が起き、避難所ではオムツが足りません」
  2. ブログB:避難所では物資が足りないそうです → リンク先(ブログA)
  3. ブログC:『避難所ではオムツが足りません』(転載)

とあったとします。
ブログBはブログAへリンクしているわけです、でブログCは1から10まで内容を転載したとしましょう。しかしその後状況が変化します

  • ブログA:「救援物資が届きました、ありがとうございます」

とブログAで追記されたとしましょう。
ブログBの閲覧者にはその変化が分かるわけですが、ブログCの閲覧者には状況の変化が伝わりません。無論ブログCも転載だけでなくリンクをしているでしょうが、「リンク先なんか読みに行く人は半分もいない」わけですから、古い情報をいつまでも提示し続けることにならないでしょうか。
「読者1000人なら1000人に確実に情報を届け」るのは大切ですが、そこにはデメリットもあります。




いずれにしても、

チェーンメールならダメだけど、読者には検証不能な「体験談」とか「知人から聞いた話」を書いてる人はOKなんでしょうか。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

2004年の中越地震の際に「大人用オムツと貼るカイロを被災地へ送ろう」と呼びかける運動があり、それがたいへんな善意の無駄遣いに終ったという事実があるとして、その運動がチェーンメールやチェーン日記によらず、みなが自分の言葉で友人らに口コミで伝えるという手段で広まったものなら、文句ないのでしょうか。私は文句ありますよ。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

rikuoさんは、全国から届いた需要に合致しない応援物資の処理に自治体が苦労し、確か数年に渡って倉庫に保管し続け、数百万から数千万円の費用が計上されたのではなかったかなと書く。「だから」チェーンメールはダメだ、という論理展開。

よく読むと、これはおかしいですよ。そもそも「チェーンメールに触発されて大人用オムツと貼るカイロを送った人が大勢いて迷惑になった」事実はあったのか。チェーンメールがなかったら、無駄な援助物資がどれだけ減ったのか。そこのところを誰も論証していない。

rikuoさんの記事を読んで、素朴に「そうか、2004年の中越地震で無駄な援助物資が現地に迷惑をかけたのはチェーンメールのせいだったんだな!」と合点した人は、ちょっと考えてみてほしい。「自分は、何を根拠に合点したんだろう?」と。危険は、そこに潜んでいるのですよ。

http://deztec.jp/design/09/12/21_life.html

こうした批判はもっともです。
ブログであれ、体験談であれそれが必ずしも信頼できるとは言えない、のはご指摘の通りです。また事実であってもそれによって思わぬ事態を引き起こすこともあるでしょうし、鵜呑みにせずきちんと検証するのは大切でしょう。コメント欄もなく誤った情報を載せたまま訂正されずにいるブログのエントリー、というのも確かにあります。


ですが、ブログにも問題がある → だからチェーンメールが肯定できる、というわけではないです。

繰り返しになりますが

  • 発信者が誰が検証し難い
  • 誤った情報が訂正し難い

というのがチェーンメールの問題点だと私は考えています。
加えて言うなら、仮にブログでもチェーンメールでも問題はある、……にしても(少なくとも私から見て)問題の多いチェーンメールをわざわざ選択するより、ブログの方が余計なリスクが少ないのではないか?と言えるでしょう。


なので「ダメゼッタイ」ですし、「リンクでいいじゃん」と思うわけです。

><

*1:一応ボランティア活動をする上で登録を行ったので、その記録はあるのかもしれませんが、現在でも残っているかなぁ。