「ロトの借財」完結!

ここ最近、個人的に更新を最も楽しみにしているWeb小説「ロトの借財」がついに完結しました!
というわけで、すげー面白いのでみんな読めばいいよ……という紹介エントリー。

はじめに

「ロトの借財」はドラゴンクエストI(以下ドラクエ)をベースにした二次創作小説なんですが、ドラクエロトシリーズをプレイした方には分かる通り、時系列としてはIII→I→IIなわけです。そうしたわけで、この「ロトの借財」にもIIIに当たるシリーズがあり、そちらを先に読むとより楽しめるので、まずはそれの紹介から
screenshot
ドラクエ3プレイ日記 - 百万ゴールドの男
こちらのタイトルは「百万ゴールドの男」。
ただのドラクエIIIの小説ではなく、主人公にはいくつかの条件が科されます。

あらすじ


5年前。オルテガの死の知らせとともにアリアハンにやってきた謎の商人軍団。
オルテガさんには返していただくものがあるんですよ」
勇者としての世界的な活動のために百万ゴールドの負債を抱えていたオルテガ
「無理です、そんなお金」
「奥さん、あなたに返してもらおうと言うんじゃない」
「え……?」
「我々も商人。担保がなければ金は貸しません」
「勇者に金を貸すのなら、担保も勇者でなければね」


時は流れ、16歳の誕生日を迎えるオルテガの息子。
「おきなさい。おきなさい私のかわいい……」
知らぬ間に百万ゴールドの担保となっていた勇者。
自由の身になるための、返済の旅が今始まる。

ルール
1.金を使うの禁止(きえさりそう、王者の剣は除外)
2.売却可能なアイテム使用禁止。即換金(装備品、すごろくけんは除外)あらすじ

父親オルテガの借金のため、旅に出ることになった勇者センド。彼は百万ゴールドの負債を抱えての旅立ちとなりました。
この世界では商人が「とりたて」という一種の呪いのようなものをかける技が存在し、それをかけられてしまったら、借金を完済するまで一切ゴールドを使うこと使うことができなくなってしまいます。
さらに売却可能なアイテムはすぐに換金しなければならず、「やくそう」や「力の種」を手に入れても全く使えず、道具屋に売って返済に使うしかありません。またその「とりたて」は勇者1人だけでなく、仲間にも波及しパーティが代わりに金を使う、というのもできないわけです。
そのため無闇に仲間も増やせず(死亡しても教会で生き返させられない)、勇者1人で装備も買うことの出来ない旅になるわけです。ただ、装備品を手に入れれば身につけることは可能ですが。


……要は、こうした条件での縛りプレイをして、それを物語仕立てにする、というのがコンセプト。作者さんが実際に縛りプレイを行い、その結果を小説にしてストーリーの肉付けを行ったそうです。


で、ドラクエIIIについてはなんやかんやあってゾーマを倒し完結したものの、さらになんやかんやあってアレフガルド竜王が現れてしまいます。

「ロトの借財」

「ロトの借財」では、「百万ゴールドの男」のコンセプトを踏まえて、また縛りプレイを行っています。
screenshot
ドラクエ1プレイ日記 - ロトの借財

あらすじ


「わかったな。自分がロトの子孫だということは、誰にも言ってはいけないぞ」
その昔、大魔王を倒して光を取り戻し、アレフガルドを救った伝説の勇者。
彼が子孫に遺したものは3つあった。
1つは、装備していた兜。
1つは、世に知られるものとは少し異なる、勇者の旅の物語。
そして、もう1つは。
「もしも、人に知られたら……」


アレフガルドに訪れた新たな危機。
その時ロトの子孫は、自分が先祖と同じ立場に立ったことを知る。
「すでにそなたは知っておろう。勇者ロトがラダトーム王家から『借りた』もののことを」
4万6千5百ゴールド。
それは、ロトの称号を与えられた勇者と与えた王家との間にある、もう一つのつながりだった。

ルール
1.金を使うの禁止(まほうのかぎは除外)
2.売却可能なアイテム使用禁止。即換金(装備品、まほうのかぎ、たいまつは除外)

なんやかんやあったおかげで、先祖の借金をロトの子孫が負い、再び勇者に「とりたて」がかけられて借金返済の旅がスタートします。

この小説の魅力

縛りプレイの難しさ、というかルールの厳しさが面白さの一つです。
特に道具の使用に制限があるため、序盤は毒になっただけで死亡確定です。なにせ「どくけしそう」も使えず「キアリー」かけてくれる仲間もいませんからね。IIIではただでさえ1人プレイで厳しい中、装備も弱いですし。
そうしたプレイの中で、主人公が苦悩したり、なぜ自分が借金を返さねばならないと半ばくさったり……といった心境から、旅を続けるうちに世界を救う勇者として責務を感じて、最後それぞれの結末を迎える頃には人間的に成長しているところなども見所の一つですね。
また、ドラクエIIIをプレイした方はストーリーを進める上で仲間として商人が必要、また「きえさりそう」はお金を使って購入しないといけない、というところが分かるでしょうが、そうした部分をどのようにして主人公が障壁をどう越えていくのか?またどのように物語との整合性を保つか?といった点も構成が緻密に計算されていて、素晴らしいです。
そしてゲームのドラクエIでは、竜王にさらわれたローラ姫を助け、クリア後は王位を譲ると言われても固持しローラ姫と供にアレフガルドを後にします。ゲーム内ではそうしたイベントはあっさり済ましてしまうわけなんですが、実際国の主を打診されたら普通は受けますよね?
……それらのように、ゲーム内ではあまり描写されなかった、なぜ主人公はそんな行動をしたのか?また他のキャラクターもどう考えていたのか?……例えばローラ姫にとって国を捨てて新天地に赴くのは大変なことです……、そうした「ゲームにはありがちな事」でも丁寧に考察して、そこにはどういう葛藤があったのか、裏ではきっとこうしたやりとりがあったのではないか、といった場面が描かれており、縛りプレイの行く末だけでなくそうしたドラマも見所です。

結論

……というわけで、簡単に言えばすげー面白いのでみんな読めばいいよ。特にロトの伝説シリーズのドラクエファンには、時間を忘れて楽しめること間違いなし。

関連リンク

screenshot
軽い気持ちで萌え萌え言うよ
作者さんのブログ。
この小説シリーズ以外にも、ドラクエの考察やドラクエ漫画なども多く、ドラクエ愛に満ちてます。

><