法に触れずに人肉を食べる方法 - 「食人賞」応募作品

ちょっと話は変わるんだけど、人を食べたいと思ったことはないかい?
ない?
そうか、僕はずっと食べてみたいと思っていたんだ。一体どんな味がするんだろうな、と興味があってね。……っとそんな顔をするなよ、別に犯罪自慢をするわけでも「今から君を殺して食べてやる」なんて言うつもりもないよ。
もちろんだけど、これまでに食べたことはないって。
食べてみたいな、と考えてはいても、だからって往来で声かかけて「あなたのお腹はタプタプと揺れて美味しそうですね、少し味見をさせてさせてください」なんて言ったら警察のご厄介になってしまう。
僕はね、
法を犯してまで、食べようなんて考えてはいない。頭のおかしいヤツならそんなの無視して無関係な人を襲ってでも食べてしまうんだろうが、僕はこの生活も大切だし全てを犠牲にしてまでの願望って訳じゃない、ま、あくまで興味本位だからね。
それで、法に触れない範囲で人を食べられないものか?と考えたんだ。
とは言っても、生きてる人を傷つけたら傷害だし、お墓を掘り起こしても死体損壊だからね。どこの国でもそんなのタブーだし。
まず思いついたのは、医者に頼むこと、毎日さまざまな部位を手術で摘出しているのだから、少しくらい切り分けてくれそうじゃないか。でもそれは大抵、腫瘍や癌組織だろうから、まぁ味も悪そうだしね。なにより、医者の友人なんていないから、却下。
次に考えたのは、どうにか自分の身体を食べられないか?っていうこと。極端な話、脚が一本なくなっても死にはしないから、どうだろうってね。とは言っても、日常生活に不便になりそうだからなぁ、それも却下。
あとは、電車での事故でばらばらになった物を1つくらいくすねたってばれないだろう、とか、いっそ冬山か南海の孤島で遭難して食料が尽きてしまえば仲間を手にかけても罪には問われまい……、とも考えてはみたものの、そうそうチャンスなんてないからね、これも断念。
で、どうやら合法なやり方で、人を食べる手段ってのは無理そうだ、っていうのが結論。
ん?それがオチ。
まぁ、無理なんでそんな妙な願望は捨てようかな、っていう話でね……、っと。そろそろ僕らの診察の順番かな?君のお腹もかなり目立ってきたね、日々大きくなっていく君のお腹を見ていると、予定日が楽しみだよ。
……ところで、胎盤って食べられるらしいね。


http://neo.g.hatena.ne.jp/hachi_gzk/20070926
http://neo.g.hatena.ne.jp/keyword/%e9%a3%9f%e4%ba%ba%e8%b3%9e



参考リンク

胎盤 - Wikipedia

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